専用工具は手の数でカバー
おじさん3人が何やらやっている。 私がうしろに立っている事にも気付かず… 小さなエンジンをバラバラにして、 バルブスプリングを組み込んでいるようです。 ひとりはエンジンヘッド固定係。 ひとりはバルブスプリング圧縮係。 ひとりは組立係。 専用工具は6本の手で代用。 そんなもん、いちいち買う暇もなければカネもない。 「うっ」とか「そうそう」とか「あららら」とか 「よしっ」とか「ふぅー」とか 誰からともなく微かな声を発している。 たまに小さな笑い声も聞こえる。 いいねー、この風景。 はなしを聞くと、オークションで購入したスバルの軽自動車。 「タイミングベルト交換済み」という記載がウソだったとか。 それでも信じた俺たちが悪い、と笑ってる。 ポーカーゲームではったりに引っかかって負けた程度の感覚。 なんてチャーミングな人たちなんでしょう。 お約束のように走行中にベルトが切れちゃってエンジン崩壊。 バルブとピストン、コンロッド、クランクが破損。 言うならばエンジンが多臓器不全、心肺停止ぐらいの重体。 ふつうならエンジン載せ替えのパターン。 そこは我らがメレンキャンプ。 エンジン載せ替えなんて彼の思考回路にはありません。 壊れたところを替えればいいじゃん、ぐらいの考え。 分解、組立なんてへのカッパ。 彼にディーラーのような紙のマニュアルは不要です。 ただ彼の持つ機械整備に対する勘どころは一級品。 すべては基本原理で構造を理解した上での作業。 見応えがあります。 でもまた、きっと破格の3万5千円とかで請け負ってるンでしょうね。 ダンボール紙の上に並べられたエンジンの構成部品。 古い納屋を使った整備工場。 作業台はビール箱と空きバケツ。 私をふくめておじさん4人。 缶コーヒー片手に暫しエンジン談義。 オークションで騙された本人も楽しそう(^_^)v 自分たちの失敗談に花が咲く。 騙されても幸せ。]]>