3つの国の企業で働いてわかったこと

16375559754_f981842d43_z たまたま最近見つけたこの本、読み応えがあります。 著者は、ホンダ、フォルクスワーゲン、プジョーシトロエンで働き 現在もプジョーシトロエンジャポンの社長をしていて、私と同世代。 私の所有車はホンダ、フォルクスワーゲン、シトロエンとメルセデス。 日本、ドイツ、フランス。 共通項が多い、というか趣向がまったく同じ。 それぞれの会社の企業文化と製品化のプロセスにも興味があって早々に買いました。 決して読みやすいとは言えない本文を読み進むうち、 16811412149_d363d1c1b8_z 第3章「そもそも就職ではなく就社であったということ」あたりで、ん? 最終ページにある著者のプロフィールを見てハッとしました。 「上野国久」? 改めて見るとなんとなく聞き覚えのある名前です。 「1982年本田技研工業に就職」 私と同じです。 それだけではありませんでした。 この本にも書いてありますが、入社直後の鈴鹿製作所での工場実習のとき、 大池テラスハウスという古い社宅で男5人の自炊生活を共にした仲間でした。 3ヶ月間の慣れない共同生活は疲れと苛立ちで、 もめ事が勃発したり仲直りして酒を飲んだり騒いだりして過ごしましたが、 その中でも彼は私と良く話をし喧嘩をし笑いあった相手でした。 まだ22、3歳の頃のことですが、 そんなあいつがPSAの社長になってこんな本を出すとは。 なにか感慨深いものがあります。 社会人として同じスタートラインに立ち、 みんな自分の将来に夢を膨らませていました。彼も書いていますが、 あの頃の経験は私にとってもすごく大きくて貴重な体験でした。 あの頃の会社や先輩の厳しさは、後々ことあるごとに思い出し感謝しています。 今では社会が変化して、 派遣や契約社員などという人格軽視の雇用体系になってしまい、 若い人たちの多くは将来の夢を持つこともできず、愛社精神とか先輩後輩との連帯感 とかを持てなくなってしまっているんだと思います。 精魂つぎ込んで会社の為にやってやろうなんて、考えられないよね。 大きな会社の社長になった彼に声が届くなら、 表向きにはカッコいいこと言いながら、 人を道具のように扱う昨今の大企業の雇用形態を変えて欲しい。 たしか彼はそういう気概のある男だったと思います。 彼が本文の最後に載せた2ページ。 淡々と書かれた文面の中に彼の人としての温かさを感じます。(クリックで拡大) 16810749627_dc6b39fb27_k 追記 彼は今年3月末でPSA社長を退任したようです。 次はなにをしでかすか楽しみです。

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1件のコメント

  1. 佐藤さん
    本の購読ありがとうございました。
    「大池テラスハウス」でしたね。
     本を書いていて、テラスハウス、とだけしか思い出せませんでした。
     鈴鹿での研修のあとに、佐藤さんは鈴鹿製作所に配属なって、ぼくは本社の物流部門で
     船積の担当をしていたので、シビックの大回収のときに鈴鹿に何度も出張をして、
     そのときに佐藤さんの家に泊めてもらって、一緒にテレビゲームをしたこと、
     佐藤さんのうちから、クルマで鈴鹿製作所に行く途中、「恋におちて」がかかっていたこと、などをよく覚ええています。
     テラスハウスで一緒だったひとたちのその後のことはわかりませんが定年まであと何年と数える年齢になってしまいましたね。
     実はぼくは昨年年末に脳梗塞を患ってしまい、健康回復の為に会社を辞めることにして、
     1月から休職をとり、後任が決まるのを待って3月末で正式に辞任をしました。
     脳梗塞で倒れる直前で書き終えていた本は、長の肩書のまま出版されました。
     健康には自信があったので、不覚でした。
     幸い後遺症はほとんどなく、静養のかいあって心身ともに健康状態を回復しつつあるので、
     いずれ何か仕事で社会復帰をするつもりです。いまは本を読んだり、映画を見たり、散歩をした、とのんびり過ごしています。
     
     佐藤さんの「その後」についてブログでおおまかですが、知ることができました。
     「会社を辞めることにした」と、佐藤さんから電話で聞いたことをおぼえています。
     テラスハウスで一緒だったのは、九大大学院卒の山口さん、東京理科大卒のなるおかさん、それに名前が思い出せませんが名工大卒の、大野さんだったか、と記憶していますが、
     その後どうされているか、と思うことはありますが、ホンダ在職中もあうことはなかったし、ホンダを辞めてもう20年過ぎて、
     ただ懐かしく思い出すばかりです。
     佐藤さん、お元気そうで何よりです。くれぐれもお体を大切に。
     身の振り方がきまったら、ご報告します。
     上野国久

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